Before
今回のVE事例は、大型旋盤の内径のヌスミ径における指示のポイントです。下記の図面は大型の旋盤加工が必要なベアリングケースですが、ベアリングをはめ込む部分はφ100 H7と指示されており、内径側のはめ合い公差が不要な部分にはヌスミが設定されています。
ところが今回のように、φ100 H7に対してφ101という設定をしてしまうと、わざわざこのヌスミを加工するために工程を追加しなければならなくなります。その結果、一発で加工ができなくなり、コストが上昇してしまいます。
コストダウン事例
After
このような場合は、はめ合い公差部分の加工とヌスミ加工を1本のツールで加工できるように、ヌスミ径との差は少しだけに設定します。例えば今回のケースで言うと、ベアリング部:φ100 H7のとき、ヌスミ部は、100.1にしておきます。こうすると、ツールを変更することなく、通常の内径仕上げツール1発で加工できるようになり、コストダウンに繋がります。
旋盤加工を知っている設計者にとって、ヌスミの設定はよく知られている事ですが、どの程度のヌスミにしておけば加工時間が削減されるのか?については、なかなかつかめない部分かと思います。特に大型旋盤で加工が必要になるような比較的大きなベアリングケースなどは、この小さなヌスミの設定が大きなVEに繋がります。