Before
プレート形状のワークを切削加工する場合、材質や形状により歪みが大きくなりますが、特に今回ご紹介するような「コの字型」かつ「SUS304」のプレートは注意が必要です。
このような形状の場合、切削加工を行うと開く・閉じるのどちらかの方向に歪んでしまいます(どちらにどの程度歪むかは、残留応力およびどのように加工したかによる)ので、特に注意して設計する必要があります。さらにこの図面の場合、基準面から寸法を設定していますので、基準面の平面度をシビアに出すことが必要になりますが、歪みで反ってしまうと公差確保が難しくなります。
なお、この設計のまま加工を行うことは不可能ではありませんが、加工代を設定した上で荒加工で歪みを出し、ひずんだところを切削、という作業を繰り返した上で歪み・平行度・平面度をキープするしかありませんので、多くの加工時間がかかりコストアップとなります。
コストダウン事例
After
コの字形状のプレートを設計するには、歪みを小さくするよう、設計段階において配慮することが必要です。Afterで示した図面では、一つの例として20mmの幅を40mmに変更して対応していますが、考えられる対策として、具体的には下記になります。
- 幅を増やす(できる限り)
- 板厚を上げる (できる限り)
- 材質を変える SUS304⇒SUS303、SSやS45C、アルミ(切削性がよいため)
- 公差を見直す(緩くする)
また、コの字にこだわらないのであれば、枠にする(ロの字にする)ことも歪みへの有効な対策となります。
切削加工によって削り出される機械部品は、大なり小なり歪みが生じますが、今回ご紹介したように形状や材質によっては歪みが大きく出るものもあります。どのようなパターンであれば歪むのか、それへの対策はどう講じればよいのかを押さえておくことで、機械部品のコスト上昇を抑えることができます。機械加工+溶接.comを運営する三栄製作所では、切削加工による歪みをあらかじめ予測しご提案することで、コストを抑えた切削加工を実現いたします。